北九州監禁殺人事件


不可解である..誠に不可解で不愉快極まりない事件が起こってしまった。
ところが、当時世間を騒がした池田小学校事件と時を同じくしたため その事件の猟奇性・異常性が成りを潜めてしまったのである。
事件の経緯を相関図を表示し進めてみよう。

相関図


松永 太 1961.4.28北九州市小倉北区生まれ。 7歳の時 父親が家業(布団販売業)を継ぐために柳川市に転居。
公立小学校に入学した彼は 全学年を通してオール5。クラス委員や生徒会を務める。中学時代、1年に校内弁論大会で
その詭弁さを発揮し上級生を差し置き優勝。男子バレー部のキャプテンも務める。客観的に小中を通してみると どの親もが理想とする
優等生の子供だが 実際は目立ちたがり屋でワンマンに加えホラ吹き。大きな声で相手に威圧感を与え有無を言わせないタイプ。
取り巻きを作り、自分は司令塔になり 悪事はこの連中にさせていた。純子と同じ公立の高校に進学、2年で「不純異性交遊」が発覚し
3年で転校する。高校を卒業後 福岡市内の菓子店に就職するが10日で退職。以後実家の松永商店(布団販売)を手伝うことになる。
昭和61年に株式会社ワールドを設立。営業項目は三井物産と同項目を並べ 登記簿上では 石油や船舶・航空機まで扱うようになっていた。
しかし 実際は詐欺商法を繰り返し  従業員には親戚、友人、知人、その知り合いなど あらゆるツテを使わせ 暴力・通電・脅し(暴力団の存在をちらつかせる) ・罰金を科せ恐怖で支配していった。純子と関係を持った時にはすでに既婚だったが 好色、無類の女好きの彼には常に付き合う複数の女性の
影があり すでに暴力で支配されていた妻には浮気を責める気力も残っなく黙認されていた。
1992年10月には会社の資金繰りに困り 純子との逃亡生活が始まる。.......
緒方 純子 1962.2.25 福岡県久留米市安武町生。緒方家は祖父は元村会議員、父親Tは農協の副理事を務める名家で
村の3分の2を占める緒方姓の本家であった。厳格な父親、賢妻良母の母親の元で育てられた純子は
まじめな優等生で女子短大卒業後、子供好きなのもあり幼稚園の教論となる。勤務態度はまじめで勤務先での評判も良かった。
短大時代 高校の同窓生の松永から電話があり 初めは相手にしていなかったが 執拗な誘いと松永への興味からか、
20歳の秋、ついに肉体関係を結んでしまう。純子、泥沼・地獄生活の始まりである。

松永は 触れて欲しくない心の奥に仕舞い込んだ闇に わずかな隙間を見つけ入り込む技に長けている。
それは生まれ持った才能なのかもしれない。
彼はハンターとして 弱っている獲物を見つけ そこを精神的・肉体的に攻めて 廃人化させていくのだろう。
ハンターは支配者に変わり、その後は 支配者の意のままに...........

1995年2月 ・小倉で逃亡途中不動産営業のKさんと知り合う。
・Kさんの人の良さ・優柔不断さ・金への執着心につけ込み 
 架空の投資話を持ちかけ多額の借金を負わせる。
・内縁の妻B子さんと別れ 娘K子(17歳)を連れ社宅へ引越し。
・K子の養育を純子に任せ毎月養育費20万を松永に支払う。
・松永との酒びたりの日々で会社を退職(事実上クビ)。
・松永マンションで同居。
・Kさんに電通などの虐待を繰り返す。

・Kさんがお金を工面できなくなると 虐待が壮絶になる。  →
・1995年暮れにはおかしな言動が目立ってくる。       →
二股に裂いた導線の先端にワニクリップを装着し腕・太もも・顎・乳首.・耳
通電を行う。食事は白米か麺。たまに生卵。 時間制限内に食べられなければ通電。
常につま先立ちで深く腰を降ろし姿勢を正す”そんきょ”を命じられる。
排泄の制限。大便を漏らした場合 排泄物を食べさせられてオムツをはかされた。
虐待は松永の気分で行われ 主に純子やK子が実行した。
*ここで注目するのは 松永のやり方である。虐待の目的はKさんから金を搾り取ることだが
決して「金を持ってこい!」とは言わない。
相手が「これは金をもってこいと言っているのだな」と思わせる遠まわしな言い方をする。
”相手を誘導し最終決断は必ず相手にさせる”と徹底していた。
台所の檻に入れらる。 度重なる通電により指がケロイド状でくっつき骨が見えていたが 
簡単な処置で包帯を巻き、尚も通電を行った。
次第に腕が動かなくなり食事も儘成らないようになる。
吃りなど言語障害の症状もひどくなり顔色はどす黒く廃人のようになってくる。
檻を開けても出ようとしなくなる。
1996年2月26日〜



1996年3月末
Kさん殺害。 K子さんが帰宅後 Kさんの汚物処理をしていると
突然Kさんが「グオーグオー」といびきのような音を立てる。
見ると浴室でアグラをかいた姿勢でぐったりしている。台所で仰向けに寝かせ(松永が)
背中に向けて通電を10回ほど行うが二度と動くことはなかった。純子臨月(2人目)の出来事。
Kさんの死体処理 浴室にて血抜きを行う。体をばらばらにする。死因を探ると言う名目(?)で
脳みそ・内蔵1つ1つを抜き取って観察する。
台所で肉や内蔵を煮込みミキサーで液体状にする。ペットボトルに詰める。
近くの施設や公園のトイレに流す。骨や歯は砕いたあと味噌と混ぜ合わせ
団子状にし海に散布し、解体に使った道具は川に捨て、服はシュレッターにかけ捨てた。
台所や浴槽はより一層念入りに掃除した。1ヶ月かかった大仕事である。
*当時、純子は松永の子を身ごもり臨月*
1996年7月 松永と交際女性に詐欺強盗繰り返し アパートに監禁するが
1997年3月アパート2階より脱走。
・金ヅルが死亡して Kさんの親友の元妻に言い寄る。
・協議離婚させ、子連れ同居。純子と2人の子供も合流で計5人で生活。
・Kさんと同じような目にあわせるが女性がアパートから逃走。
 腰骨を骨折しながらも近くの会社に助けを求め救急病院へ運ばれる。
・状況を察知した松永は残された子供を前夫の自宅前に置き去りにし、姿をくらます(前のマンションに戻る)
1997年4月 松永、金主が見つからず純子にたかる。金の工面に困った純子は次男を叔母に預け大分湯布院のスナックに就職を決めるが 面接翌日に松永死亡(自殺)の連絡を受け 小倉に戻る。松永の策略に嵌る。松永はいつの間にか純子の家族を手中に収めていたのだった。
このとき 純子は自分の息子(長男)肉親(父・母・妹・義弟)から制裁を受けるが、解離症状のせいで記憶は定かではない。(右足の指がついていたり、親指から骨がでていたりしたようなので かなり強い通電制裁が行われたことは間違いないようだ)
1997年4月〜7月 純子の家族 緒方被告と同居を始める。 緒方家 家長のTさんを金主に狙いを定める。純子の実家に出向き 純子がKさんの殺害に加担(主犯)したことを告げ 数千万単位の金を要求(しているようにみせる) 。最終的にはTさんにKさん殺害の証拠隠滅(マンションの配水管を交換させる)に加勢させ 共犯意識をもたせる。緒方家家長Tさんを手中に収めた松永は 養子のKさんにゴマをすりながら近寄り
待遇の不利を力説したり 純子の妹Rさんの過去を暴露し不信感をもたせる。元警官のKさんに対しては特に慎重に接した。純子の母親Sさんとは肉体関係を結び、緒方家一族を手中に収めていった。
     12月21日 父親Tさん 殺害。 ターゲットが 父親Tさんになる。緒方家の親族がTさんの田んぼの仮登録をしたことを知り 犯人探しの話し合いを始める。
何かとTさんに因縁をつけ 通電による尋問(拷問)が始まった。
初めは 松永が行っていたが、疲れて純子に代わった時
十二指腸潰瘍手術後 何度も通電による虐待を受けていたTさんは これに耐えられず
正座した姿勢のまま右斜め前にゆっくり倒れた。慌てふためいた 松永は 人工呼吸など
蘇生行為を行うが すでに事切れていると分かると Kさんと同じ死体処理をするように それとなく5人を言いくるめた。5人は10日間その作業を黙々と行った。
☆ 5人... 母親・純子・妹・義弟・姪
1998年1月20日 母親Sさん 殺害。 ターゲットが母親Sさんになる。通電をうけるようになり 次第に「あ〜 う〜」と奇声を発するようになる。「頭がおかしくなった」と松永はSさんに浴槽で寝起きするように指示するが 日ごと大きな声で叫ぶSさんを持て余し「あとのことは(処置)は任せる」と話し合いをさせる。病院に入院させる、アパートを借りる、など色々提案するが ことごとく却下。 3人(純子・妹・義弟)にSさんを殺害させるように徐々に誘導していく。浴槽にて義弟が電気コードでSさんの首を絞め純子はその姿をぼんやり眺めていた。「もういいですか?」「いいんじゃないですか」という言葉のやりとりもあった。死体処理は同じ。悪臭を和らげるために茶の葉やしょうがを使用した。
     2月10日 妹Rさん 殺害。 ターゲットは妹Rさんへ。Rさんはやせ細り、耳が聞こえにくくなる。松永の指示通り行動できなくなり怒りをかう。生理が止まる(妊娠の疑いアリ) 。松永から話し合いの指示を受け、殺害を行う。
夫のKさんが 寝ているRさんの首に電気コードを絡めた時 目が覚め「Kちゃん、わたし死ぬと?」呟く妻に「R、すまん」と答え 力いっぱいコードを引っ張っり、娘のAちゃんは 母親の足を押さえ込んだ。
     4月13日 義弟Kさん 殺害。 ターゲットはKさんへ 排泄物の入ったペットボトルの処理に困り アパートの下の階の通路に
捨てた為 下の階の住人から苦情がくる。 (排泄に関してペットボトル○本までと決まりがありトイレに流す時間や量が決まっていた。勝手に流すと通電の仕置きがあるため やもなく
捨てたと思われる)Kさんは 大分県中津に住む松永の愛人宅までの運転手を命じられていた。肥満体型だった体は痩せ細り、足は浮腫み時として立っている事さえ困難な状態となる。
その頃から 嘔吐下痢を繰り返し薬さえ受け付けなくなる。それでも松永は虐待の手を緩めず自分のオムツの排泄物を食させたりした。一時期体力を回復するが 再び寝たきりとなり上半身を持ち上げるのさえ困難な状況になる。ある日 松永は高価な栄養剤とビールを与えるが、その後Kさんは帰らぬ人となる。松永曰く「死を予感してビールを与えた」とのこと。死体解体の後 処理させる。
     5月17日 甥 Yくん 殺害。 もともとRさんとKさんを支配するためにだけ存在したYくんとAちゃん。その2人が不在となった今。内情を知るAちゃんを他人に預ける危険を冒すわけもなく AちゃんにYくんを「母親の元に
行かせよう」「Yくんがいると邪魔になる」と殺害を示唆させ、AちゃんとK子さんを使い電気コードでYくんを絞殺させる。始めは躊躇していた純子だが いつものように松永に言いくるめられ同意。このときYくんAちゃんの殺害を計画する。死体解体の後 処理させる。
     6月 7日 姪 Aちゃん殺害。 Yくん殺害後、Aちゃんに対し 1日食パンを4枚から2枚に減らし、通電を行い同時に松永と2人の話し合いを始めるようになる。がりがりに痩せたAちゃんが「死にたい」と言っていると純子やK子さんに伝え 殺害するように誘導していく。この日AちゃんはYくんの殺害された台所に仰向けに寝転び 純子やK子さんがコードを首に通しやすくするため頭を持ち上げた。
両側から力いっぱいコードをひっぱりAちゃんは息絶えた。 死体解体の後 処理させる。
2002年1月30日〜
2月14日
K子さん逃亡...失敗(松永→宮崎  純子→森 偽名を使う) K子さんは松永の隙をみて 北九州に住む祖父母の家へ早朝逃亡を図る。
どうにか成功し 半月ほど祖父母と一緒に暮らし アルバイト先を決めたり、国民健康保険に加入したりと生活の基盤を築き始めていたが
当時、松永の恋人(の一人)として付き合っていた伯母のM子より 
宮崎に行方ばれ、強引に連れ戻される。
2002年3月 6日〜 K子さんマンションから逃げ 警察にて保護される。 祖父母の家に再び(深夜12時)K子さんから電話がかかる。「明日朝5時にまた電話する」と。不審に思いながら電話を待っていたが午前6時過ぎに再びK子さんから居場所を指示する電話がかかる。その場所に向かうとハァハァ息を切らしながらK子さんが車に乗り込んできた。 前回の件から不審を抱いていた祖父はかまをかけ 「父親のKはしんでいるのではないか」と尋ねると K子の緊張の糸が切れたのか 「お父さんは殺された」と号泣きしながら叫んだ。驚いてすぐに警察署へ向い 婦警に父親の話をしたが、信じてもらえず 虐待あとの傷を病院にて治療したあと 改めて警察署で事情聴取を受けることとなった。
     3月 7日 両被告を監禁・傷害容疑で逮捕。 偽名を使った松永はすぐに祖父母宅へやってきた。居所を聞かれたが「連絡がつかない」と突っぱねると今度はK子さんの荷物を引き取りに偽名を使った純子がやってきて
「パジャマがない」と2人で騒ぎ立てた。...2人が一旦引き上げた翌日(3/7) 逮捕状がでた。
電話で 養育費等を請求した松永に対し 支払う意思をみせ金を受け取りに来たと同時に
逮捕となる。
4月4日 松永被告と以前交際していた女性に対する監禁致傷容疑で再逮捕
5月9日 姪Aちゃん殺害容疑でのマンションの捜索
   16日  松永被告と交際していた女性への強盗容疑などで両被告を再逮捕
6月3日 監禁被害の女性らへの監禁致傷罪などについての初公判
 10月12日 父Tさん殺害容疑で再逮捕 24日〜緒方被告が事件関与を認める供述を始める
12月6日 母Sさん殺害容疑で再逮捕
03年1月11日 甥Y君殺害容疑で再逮捕
   2月 3日 監禁被害の女性の父親殺害容疑で再逮捕
      25日 妹Rさん殺害容疑で再逮捕
 5月21日 第3回公判。 検察側が6人の殺害について冒頭陳述
5月30日・6月20日 義弟Kさん殺害容疑で再逮捕 ・ 主也さん殺害で起訴
04年1月14日 第20回公判で監禁被害の女性が初めて証言
05年1月26日 第72回公判で実質審理が終了
   3月2日 論告求刑公判
   9月28日 判決公判が福岡地裁小倉支部で開かれ両被告に求刑通り死刑を言い渡す。松永控訴。
  10月11日 緒方純子福岡高裁に控訴。
2007年1月24日 控訴審第1回公判。求刑通り死刑を言い渡す。
    9月26日 控訴審判決が福岡高裁にて言い渡される。
主文

1 松永の控訴を棄却する。
2 原判決中、緒方に関する部分を破棄する。緒方を無期懲役に処する。

   10月 9日 (10月5日 松永太被告は5日、判決を不服として上告。)
福岡高検は緒方純子被告について「最高裁の死刑に関する判例に違反する」として上告。

参考資料・図書//消された一家・九州発 YOMIURI ONLINE